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月別アーカイブ: 2012年11月
雫の森へ
昨日の雨は夜中に止んだようだ。雨上がりの誰もいない森に入った。入ってすぐ小さな川を浸かって渡らなければならず、川の前で、拍手を打って長靴で直接川に入って渡った。屋久島では橋が無い川を渡る時は拍手を打つか、咳払いをして水の神様に「渡りますよ」と、断わりを入れるのが、むかしからの慣わしだからだ。
大きく深呼吸をすると、雨上がりにしては森の匂いがあまりしない。季節によって森の匂いが違って、春は花の香り、夏は雨が降った後の腐葉土やキノコの匂い、秋は多少のさざんかの香りと、発情した雄鹿が森の水溜りに体を擦りつけマーキングするため、獣の臭いがするのだが、冬は雪が積もることもあってあまりしない。昨日の雨はまとまって降ったこともあり、森が潤って苔には無数の雫が輝いていた。
土埋木、ヘリ搬出始まる
土埋木のヘリコプター搬出が始まった。毎年、気圧が安定するこの時季に行われる。
林野庁屋久島森林管理署は今月23日から土埋木のヘリ搬出を開始する予定だったが、23日は悪天候のため24日より始めた。搬出場所はヤクスギランド上の国立公園第三種特別地域(伐採が許されている地域)。
生きて立っている木を伐って搬出しているわけではなく、江戸時代に伐られた屋久杉の切り株や倒木(土埋木)を(有限会社)愛林が林野庁屋久島森林管理署の事業である「土埋木搬出」の仕事を請け負い、3月ぐらいから事前に、搬出できる大きさに伐る作業を続けてきたもので、まとめてこの時季に搬出する。ヘリで搬出された土埋木はヤクスギランド近くの土場(集積所)に降ろされ、その後はトラックで安房の森林管理署貯木場に運ばれる。
ヘリ搬出は12月10日ごろまで行われる予定で、25日のヤクスギランド周辺ではヘリのエンジン音が静かな森に響き渡っていた。
土埋木:工芸品や建築材の一部などに加工される