雫の森へ

昨日の雨は夜中に止んだようだ。雨上がりの誰もいない森に入った。入ってすぐ小さな川を浸かって渡らなければならず、川の前で、拍手を打って長靴で直接川に入って渡った。屋久島では橋が無い川を渡る時は拍手を打つか、咳払いをして水の神様に「渡りますよ」と、断わりを入れるのが、むかしからの慣わしだからだ。

大きく深呼吸をすると、雨上がりにしては森の匂いがあまりしない。季節によって森の匂いが違って、春は花の香り、夏は雨が降った後の腐葉土やキノコの匂い、秋は多少のさざんかの香りと、発情した雄鹿が森の水溜りに体を擦りつけマーキングするため、獣の臭いがするのだが、冬は雪が積もることもあってあまりしない。昨日の雨はまとまって降ったこともあり、森が潤って苔には無数の雫が輝いていた。


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