パリは、時間の浪費がチケット代わりになる劇場……ロベール・ドアノー

パリは、時間の浪費がチケット代わりになる劇場だ。そして、私はいまだに待っている。     ロベール・ドアノー写真集 パリ・ドアノーより

毎年冬になると、好きな作品と作家の写真集を買っている。2012年12月は、生誕100年を迎えたフランスのロベール・ドアノー「ロベール・ドアノー」「パリ・ドアノー」、星野道夫「悠久の時を旅する」、鬼海弘雄「アナトリア」の4冊を手に入れた。冬はわりと時間があり、ゆっくり観ることができる。冬以外でも、注目の写真家や好きな写真家の写真集が刊行されると、すぐに取り寄せている。すばらしい作品は、後世に残るといわれるように、ドアノーは「イメージの釣り人」として、「瞬間で消え去るイメージを捉えたいという欲望、あるいはもっと単純に、この世界に生きる喜び、またそこで起こる出来事を目撃できる喜びを刻印する方法として、私は写真を撮ってきたように思う」と写真集の中で言っている。時代は変わっても、出来事の瞬間を切り取る方法は昔も今も同じで、新しくなったのはその切り取る道具がデジタルカメラも使うようになったことぐらい。ドアノーがパリを切り取った瞬間、すなわち「タイミング」を観ることができ、人や物がモノクロで語りかけてくる作品は説得力がある。はたして自分の作品は後世に残るだろうか?。「写真集はまだですか?」と毎年聞かれるのだけれど、昨年に続きこの冬、写真セレクトは最終段階に入った。今年こそは12年の集大成として世に出したいと思っている。

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