投稿者「Horie Shigeo」のアーカイブ

6名総がかりで

ある仕事で4日間の映像撮影に行ってきた。亜熱帯の植物から冷温帯の植物まで、世界遺産のメインである植物の垂直分布を網羅するというもので、晴れの日、雨の日と内容的には3日目の夕暮れまで天気に恵まれた。撮影のリストに挙げられた植物を撮っていくのはかなり地味だが、なるべく図鑑のようにならないよう工夫する必要があって、撮影する場所を選ぶのに苦労した。ポーターも含めて6名総がかりで3日目の撮影を終えた。 写真=

場所を選ばず生きる

倒れた杉の空洞部分にたまたまたシキミ、ヤマグルマ、サクラツツジ、杉の種が落ち?運ばれて?陽当たりがいいのですくすく育っていた。

写真=21日、尾之間歩道

雨の森は

森に霧がかかり、雨がシトシトと葉を優しく叩く。

大粒の雨がばらばら降るでもなく、ざあざあ降るでもなく、しょぼしょぼ降るでもなく、

シトシト雨が一番癒される。雨の森ってほんといいものです。

写真=22日、小花山

打ちのめされた木々

台風や雪の重みで葉がもぎ取られたり、枝もへし折られる。

また、土壌やカミキリムシの影響もあって、立ち枯れの状態にある杉とツガの木。 

写真=21日、尾之間歩道

なぜ木の上に石が・・

木の上になぜ石が!

答えは簡単。

見えている木は杉の根っこ。

台風で根っこごと倒れ、土も付いていたのだろうけど雨で流され石だけが残った。

屋久島ではよく見る光景。

写真=21日、尾之間歩道

用意周到の登山を

昨日19日、縄文杉登山へ行った時の事。

午後2時ごろ縄文杉からトロッコ道終点まで下りてきて休憩していると、トロッコ道をかなり疲れた様子で男女のペア(夫婦?親子?40代~50代?)が登山口方面から終点に到着した。

日帰りにしては時間的に度を越している。気になったので、その女性の方に声をかけてみた。すると、上に泊りだという。おそらく縄文杉を見て高塚小屋に泊まる予定だと思ったのと、背負っていたリュックを見るとあまりにも小さかったので・・・寝袋は持っていますか?テントは持っていますか?と聞いてみると「持ってません、フリースを着て寝ます」という。

しかし、今、屋久島の山小屋は「コロナ感染防止のため、ご利用はお控え下さい」と張り紙があり、泊まる場合はテントを使用しているのが現状。たぶん小屋に入ると思うが・・・・。

トイレを済ませた2人は大株歩道を登って行ったが、男性の足取りは重くよろよろしながら歩いていた。通常大株歩道入り口から縄文杉までは2時間半ぐらいで着くのだが、あの足取りだと4時間ぐらいはかかるのではないかと思った。

無事に着いたのか?下山したのかは今日の時点ではまだわからない。

7月末、69歳の女性1人が行方不明になり1週間後に遺体で収容された。8月は30代、60代の親子が日帰り縄文杉登山で遭難して、屋久島山岳利用対策協議会の職員に救助され、背負われて登山口に着いたのが夜の10時を回っていたという事案もあった。このように単独の登山者が何らかの問題を起こしている。情報取得不足、軽装での登山など用意周到が求められる。山をなめてはならない。 写真=19日、トロッコ道

「倒木」柏倉陽介写真展

「屋久島の森を歩き、静けさをまとった倒木を眺めていると、私の内にある激しい感情が行き場をなくして消えていくようでした。わき起こる怒りや留まり続ける悲しみといった感情は人の短い寿命からくる気がしてなりません。」(柏倉陽介写真集「倒木」より)

柏倉陽介氏は、数々の賞を受賞し世界で活躍するNature photographer。

10年以上前から屋久島に通い続け撮影した作品がこのほど「倒木」-屋久島 ときの狭間に立ちて- の写真集として刊行された。その出版記念として屋久島で写真展が開催されるはこびとなった。

会期:2020年9月19日(土)~9月30日(水) 

時間:11時00~17時00

会場:屋久島町小瀬田・Gallery TABIRA

凛とした森へ

雨が止み森が霧に覆われると、人の声は響かず、携帯電話の電波も届かずで一切のものを遮断する。しっかり森を見なさいというメッセージかもしれない。 写真=15日、高塚手前

育つ場所で運命が決まることも

まさかこれが。

台風10号の暴風で倒れた樹齢40年ぐらいの杉。

かつて500人以上が住んで、屋久杉伐採の最前線だった小杉谷。

昭和45年に伐採が終わり、閉山となった住居後に植林された杉だったが、地表の条件が悪かったのか近くの杉を巻き込みながら倒れていた。

この杉は3年前、テレビ番組で小杉谷集落を紹介するために映像撮影したものだっただけに、なんだか寂しさがこみ上げた。

育った場所によっては3000年も生きる屋久杉があるいっぽうで、40年足らずで終焉を迎える小杉もある。(屋久島では、樹齢1000年以上は屋久杉。1000年以下は小杉としている)

写真=15日、小杉谷

脅威にさらされる中で

久しぶりに縄文コースを歩くと、トロッコ道沿いは台風10号の爪痕が残されていた。

屋久島はもともと土壌が少なく、植物は花崗岩の上で育っているのが通常。1枚岩の上で岩を這うように広がった根は木が暴風雨で揺さぶられると、ちょっとした隙間ができ、そこからいっきに剥がされてしまう。(個体の岩を根がつかむように育つと強い)

それは木が大きくなればなるほど幹の揺れ方が大きくなり、樹齢1000年以上の屋久杉でさえ倒れてしまう。そうした脅威にさらされる中、屋久島の木々はたくましく育っている。

そして、倒れた木の上、或いは根本に新たな木の種子が落ち、新しい命が育まれる。それは何千年も前から繰り返し行われている。 

写真=15日トロッコ道、根が剥がれた杉の木