時をみつめて

グレーの時間

昨日、屋久島の最高気温は27℃、暑かった。今日は20℃で南の風が強く安房地区は朝からボトボトのラッキョ雨(雨粒が大きい)が降ったり止んだり。車で北側の宮之浦方面へ走ると晴れ。屋久島は日本列島を凝縮した島で、北側は日本海側の気候、南側は太平洋側の気候があるといわれ、夏にこのパターンがある。冬は逆。昼からは島全体で雨模様になって、西部林道から見た空はグレースケール。海上は海水が蒸発し雲は白、岸から山にかけては黒に近くなっていた。この後海上にも黒い雲ができ、雷鳴。

写真の基本である中間の「18%グレー」。このページ及び日々更新するページは写真が見やすいように、グレーを設定しています。

写真=27日、西部 「EOS 7D・17-55mmF2・8」

風の微笑み返し

一雨ごとに暖かさを感じるようになってきた。里地の山桜は終わりクロバイの花もめだってきて、これからはサクラツツジの薄ピンク色が緑の中に色を添える。風が吹くたび首をすくめていたが、森を歩きながら受ける風はここちよくなった。鳥の声、川の流れ、落ち葉が風に吹かれカサカサと転がる音、空を見上げれば青空、やわらかい光、コーヒーを飲みながらの贅沢な森の時間。

写真=「EOS 7D・70-200mmF2.8」

光が落ちる

昨夜からの雨は9時頃には止み、空はいっきに青空が広がった。木々の枝に着いたコケにはたっぷりと雨水が溜まり、それが風によって落とされる。落ちる水滴は太陽の光が当たり、輝きながら下にある枝の葉に当たると、はじけてまた落ちる。それは光の雨に見えた。まるで線香花火。いや、線香花火よりきれい!

写真=23日、天文の森 「OLYMPUS PEN E-P1・17mmF2・8」

奥岳、神の領域へ

霧雨の中、黒味岳に着いたのが12時10分頃。視界は20mぐらいで、頂上からは360度白、白、白で遠くまでまったく見えない!。西からの冷たい風が岩の下から吹き上げ、かなり寒い。体感温度は5℃ぐらいで手の指がかじかむほど。だが、奇跡は起きた!!。8分後、奥岳全域でいっきに霧がとれて、海まで見える。神の微笑みか?、写真を撮らせてくれた。その時間5分ほど……。撮り終わると、また元に戻り視界が無くなった。

写真=黒味岳からトーフ岩方面/22日、「Canon Power Shot S90」

砂浜

砂浜は海の汚濁などを浄化するために残さないといけない!」と、以前真珠貝養殖業の知人に聞いたことがある。その通りだと思う。砂浜に打ち寄せられた海水の泡は確かに汚れている。

ここ、いなか浜はこれから数千匹の命がかえる場所。今年もウミガメの産卵がもうすぐ始まる。

写真=21日、永田いなか浜 「Canon Power Shot S90」

生きるための光

きらびやかなステージに立つスターには、スポットライトが当たり、演技を盛り上げる。だが、植物たちは自分からスポットライトに当たりにいくのだ。それは「生きる」ために。光合成には絶対に必要な光。植物たちは光を求めて熾烈な戦いを繰広げる。たとえ台風の風で倒れても、根が土の中に残ると雨が多い屋久島…、生き続け、その倒れた木の先端は太陽へ向う。しかし、幸いにして地面でスポットライトが当たった植物は、ある程度育つものの、特別(毒がある、嫌い)な植物を除いて、シカの目にとまり食されてしまう。自然界のスポットライトは植物にとって「生と死」がとなりあわせになるのだ。

写真=花が終わったオオゴカヨウオウレン/20日、白谷雲水峡 「OLYMPUS PEN E-P1・17mmF2・8」

一枚の落葉が森をつくる

屋久島の森は腐葉土が少なく、栄養が乏しいといわれる。島全体が、海岸からいっきに中心部の山頂まで駆け上がり、森に葉が落ちても大雨が降ると川へ流されてしまう。そして海へ。地表に下草があれば流されずかなり残るのだが、その下草をシカが食べてしまい、遠くまで見渡せるぐらい空間が広がる。かろうじて残った「一枚、一枚の葉」が、腐葉土となって樹齢数千年の屋久杉を育て、原生林をつくるといっても過言ではない。

写真=18日、「Canon Power Shot S90」

彩光瞬景

そこに光はあった。

今朝は雨上がりで山は少し冷え込んでいたため、トロッコ道に射し込む朝日を森の冷気が拾っていた。

ふだん撮影の時は、下見をして光が射し込む場所を確認できたら、後日その場所で1時間、半日、1日待つことがある。それでも撮れないことが多い。季節によって太陽が出る位置も違うし、途中雲がかかることもある。無駄の連続。でも通い続ける。やがてその光をフィルムに撮り込んだとき、そこから物語が始まっていく。

写真=18日、トロッコ道 「Canon Power Shot S90」

夢の途中

山に霧がかかり、それがとれて山が現われたとき、夢から覚めるような感覚になる。そして霧がすべてなくなり全体が見えてしまうと、なんの夢だったんだろうかと思うことがある。

写真(デジタルモノクロ)=17日 「EOS 7D・17-55mmF2・8」

水の譜

100行や1000行の文章よりも1枚の写真に勝るものはない。そして世界中の人々を動かすことができるのも写真が持つ力といわれる。

日ごろ写真を撮る時、「写っているもの、あるいは写ったもの」の先に「何があるのだろうか?、どうなるのだろうか?」ということを想像させる写真を撮りたいと思ってシャッターを押す。写真家は写真で小説を書きます。「写真を読ませる」ことで、表現したいものを想像してもらう。だから表現写真にはキャプション(説明文)はなるべく付けたくない。キャプションを付けてしまって、それを見た人は納得してしまいそれで終わることもある。撮る側も見る側も想像することで感性が鍛えられると思うのです。10人の写真家がいれば10通りの撮り方があり、見る人が10人いれば10通りの見かたと感じ方がある。それが写真の力だと思います。感動を与えた写真は自然と無限大に想像されるものと信じます。若い時に見えなかったものが、歳をとることによって見えてくるものがあります。不思議です。どれだけ感動を与えることができるか、日々精進しながら撮りたいと思っています。

写真=16日 「EOS 7D・70-200mmF2.8」

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