屋久島には、日本列島にない原始林がごくわずかだが残されている。そのことが世界遺産の中身としてもある。屋久島に観光で訪れる年間何十万の人々がそのことをどれだけ知っているだろうか、おそらく全体の一割も満たないと思う。伝える側がきちんと伝えないと知る由も無く、また、伝えたとしても排除される場合もある。そのため物見遊山でメジャーの場所だけで終わっているのが現状だ。「森の本質、価値観とは何か?」正しく伝えていないから、偏った観光になってしまったのだろうと思う。日本の山は環境面を置き去りにして経済優先でお金になる木(杉や檜など)に変わって行った中で、屋久島の原始林は一部残された。その事自体が凄い事なのにクローズアップされない。原始林……を上から見ると思わずため息が出る。人の手が入っていないこんな森はかつて見た事もなくそのすごさに圧倒される。原始林ゆえ、謎がいっぱいで縄文杉をはるかに上回る巨大な屋久杉が存在する。だが、それは公表されていないし、今後も公表されることはない。原始林、その価値がわかると、ほんとうの屋久島が見えてくるはずです。写真=太忠岳展望所から