昨夜降っていた雨は止んで、屋久島の東側は朝から晴れた。昼前、西部まで行く予定で車を走らせる。時期的にもうアオモジの花が咲いているかなと思い、安房から県道をしばらく走り、高平でハンドルを山手側にきって農道に入った。昨年も農道横で咲いていた花を撮ったので、今年も、と思い低速で走りながらアオモジの木を探した。木は10分もしないうちに見つけたものの、窓越しに枝を見ると、まだ蕾の状態で、開花まであと2週間ぐらいかかるかな、と思われるものばかりで、咲いていなかった。仕方なくまた車を走らせていると、道横につわぶきの綿毛がたくさんあることに気づいた。昨年、秋から初冬まで咲いていた黄色い花ビラは、全部落ちてしまい、丸い綿毛になっていた。進む先のちょっと広くなった道横に、つわぶきが群生して、綿毛が多く付いているものがあったので、その近くに車を停めた。カメラを手に持って車から降り、つわぶきの近くまで寄って、綿毛を見ていたら、風に吹かれて何本かが同じ風下に飛んだ。スーッっと速く飛んで行くのもあれば、ふわふわとゆっくり飛んで行くものもあった。風の強弱によって飛び方が違い、距離も違った。すべては風任せ。鳥や動物によって運ばれたものを除くと、あまり遠くまで飛ぶことがないのか、近くに着地して、発芽すると狭い範囲で殖えていくようだ。(それとは別に、土の中にある茎だけでも繁殖できると書物にはある)風が止むのを待って、きれいな綿毛を数カットだけカメラにおさめる。周りを見てもアオモジの木は無かったので、諦めて車に乗り込んでだ。農道はもうすぐ県道と合流する所まで来ていたこともあり、5分ぐらいで県道に出た。尾之間集落のAコープで買い物を済ませ、小島集落まで行くと、先日見たヒマワリが目の前に飛び込んでくる。冬だというのに季節はずれのヒマワリが、段々畑で咲き誇って、相変わらずきれいだ。先日も撮ったけど、また撮ってしまった。やはり撮らずにはいられない魅力があるかもしれない。しばらくたって、小島の隣にある平内集落まで行くと天気は一変。北西の風が小雨を連れてきた。空全体は灰色で低空に点在する薄黒い雲が、少しだけ速く北西から南東側に流れている。この雲が雨を降らせ、通りすぎるとぴたっと止んで、またくると降りだすという安定しない天気。県道沿いのお店で缶コーヒーを買おうと、自動販売機の前に車を止めて降りた瞬間、わずかに硫黄の臭いを鼻で感じた。近くに温泉があるはずもなく、なぜこの臭いがするのか、考えることも無くすぐにわかった。屋久島の西方12kmに位置する口永良部島(くちのえらぶじま:屋久島の一部)が昨年の8月、34年ぶりに噴火して、全国ニュースでも流され話題になった。地元でも大騒ぎになったが、今は治まっている。しかし、ある程度の噴煙(一概に言えない)がまだ出ているので、その噴煙が北西の風で運ばれ、屋久島の南西方面まで臭いをもたらしているというものだった。今まで冬にこの臭いを、北西の風が当たる所で感じることは無かったのに、今年初めて臭ったということは、噴火前に比べて噴煙が多くなったからではないかと思う。車は大川の滝を過ぎて、西部林道の幅員が狭くなった所で停め、降りてみるも雨で視界が悪く、撮影どころではない状態だった。急いで車に乗り込み、そこでUターンして走りながら口永良部島を見ると、島の上半分が雲に隠れて噴煙の流れは、わからなかった。時間は夕方近くになっていたので撮影は諦め、どこにも寄らずそのまま帰った。=30日、写真/モッチョム岳と雲、小島から