森の中に、江戸時代の樵(きこり)が斧を入れ、放置されたまま立っている屋久杉が多数存在する。通称『試し切り』と言われているもので、杉の木目や空洞なのか否かを確認するために「斧を入れた痕跡」としている。だが……(有)愛林代表の山師、高田久夫さんから以前、この件に関して興味深い話を聞いたことがある。高田さん曰く、「あれは試し切りじゃない!」というのだ。「『試し切り』ちゅうのは、学者や行政が憶測で勝手に言っていることであって、実際、樵は試し切りをしなくても、木を見ればわかるんじゃけどね?、なんであんな高い所に櫓(やぐら=足場の台)まで組んで試し切りとして斧を入れるかね~?、それがわからんとさね~、倒すつもりで伐っていたけど、何らかの都合があって途中で止めた可能性もあるとさ」。というもので、今だ現役の樵としての高田さんの話が正論のように思える。※江戸時代は櫓を組んで、屋久杉を地上から伸びたまっすぐな位置で伐っていた。そのため切り口が3m~5mぐらい高い、切り株が残っているのが特徴。