照葉樹の森

昨日に続き照葉樹の森を歩いた。去年の教訓として猟友会の「鹿撃ち」には注意しながら、海岸から奥へと進む。

照葉樹の葉が生い茂る森は昼間でも薄暗いが、今日は一時的に陽が射し込む時があり、その光の先に目をやると、クワズ芋の葉が風に揺れ、ひときわ目立っていた。やはり光が入る場所には植物の命があることがわかる。

そのクワズ芋を撮り始めてまもなく、遠くからザーッと葉に当たる音が近づいて、弱い風と共に少量の雨が通りすぎた。曇り時々晴れ、たまに雨を繰り返す天気のようだ。濡れた葉には雫が残り、落ちることなくとどまっていた。

撮影を終えまた歩き出すと、冷たい風だけが顔に当たった。里山にも確実に冬が来ているのだなと感じる。誰もいない森は、風の音、雨の音、岸に打ち寄せる波の音だけで、鳥の声は聞こえない。

足元から樹の上まで見ながら歩くと、夏の台風が影響したのか、生樹がまるごと一本倒れていたり、枝だけもぎ取られたりと、自然の脅威を改めて認識しながら、森で起こる生と死をみつめ、そして写真で記録していく……。 つづく

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